「SaaSってよく聞くけど、結局いままでのインストール型ソフトと何が違うの?」
そう感じている人は、実は少なくありません。
なんとなく便利そう、なんとなく新しそう。
でも、インストール型ソフトとの違いがはっきりしないまま使っている、というケースも少なくありません。
この記事では、SaaSとインストール型ソフトの違いを“仕組みと考え方”から整理していきます。
専門知識は不要です。イメージしながら読んでみてください。
そもそもSaaSとインストール型ソフトは何が違うのか?
SaaSは「インターネット経由で使うサービス」

SaaS(サース)は、ソフトを自分のPCに入れず、
インターネットを通じて使うサービスのことです。
- ブラウザでログインして使う
- インストール作業がいらない
- データはクラウド上に保存される
Gmail、Googleドキュメント、Notionなどを思い浮かべると分かりやすいでしょう。
「使うために準備する」というより、登録すればすぐ使えるのが特徴です。
※SaaSの意味や仕組み自体をもう少し丁寧に知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。

インストール型ソフトは「PCに入れて使うソフト」

一方、インストール型ソフトは、
購入してPCにインストールして使う従来型のソフトです。
- 特定のPCにインストールする
- 基本的にはそのPCでのみ利用
- データはPC内に保存されることが多い
WordやExcelのパッケージ版、画像編集ソフトなどが代表例です。
「自分のPCに入れて使う道具」という感覚に近いかもしれません。
使い方・考え方の違いをイメージで理解する
SaaSは「道具」ではなく「環境」
SaaSは、単なるソフトというより
作業するための環境そのものに近い存在です。
- 常に最新版が使える
- どの端末からでも同じ状態で作業できる
- 共有や共同作業が前提
「どこで・誰が使うか」をあまり意識せずに済む、という点は大きな特徴です。
インストール型は「自分の所有物」
インストール型ソフトは、
自分で管理する道具という位置づけになります。
- バージョン管理は自分で行う
- 環境構築や設定が必要
- PCが変わると再インストールが必要な場合もある
自由度が高い反面、ある程度の管理コストは発生します。
実際の違いを項目別に比較してみよう
1. 導入のしやすさの違い
- SaaS:アカウント登録後すぐ使える
- インストール型:購入・インストール・設定が必要
SaaSは、ブラウザでログインするだけで使い始められるものが多く、
「まず試してみたい」という場合でもハードルが低いのが特徴です。
一方、インストール型ソフトは、環境によって設定に時間がかかることもあります。
2. 費用体系の違い
- SaaS:月額・年額課金が中心
- インストール型:買い切り型が多い
SaaSは初期費用を抑えて始めやすい一方、
長期間使うと支払いが積み重なる傾向があります。
インストール型ソフトは、長く使うほどコスト面で有利になる場合もあります。
3. アップデート・管理の違い
- SaaS:自動でアップデートされる
- インストール型:手動対応が必要な場合が多い
SaaSは、利用者が意識しなくても常に最新版が提供されるため、
セキュリティや新機能の面で安心感があります。
インストール型では、自分で更新作業を行う必要があり、
古いバージョンのまま使い続けてしまうこともあります。
4. データ保存と共有の違い
- SaaS:クラウド保存・共有が簡単
- インストール型:ローカル保存が基本
SaaSは、複数人での共有や同時編集が前提に設計されているものが多く、
チーム作業やリモートワークと相性が良いです。
インストール型は、データ管理の自由度が高い一方、
バックアップや共有は自分で考える必要があります。
SaaSとインストール型ソフトの「想定されている使い方」の違い

次に、SaaSとインストール型ソフトがそれぞれどんな使い方を想定しているかを、簡単な比較表で整理します。
実際には、両者を天秤にかけて選ぶ場面はそれほど多くありません。多くのサービスは、最初から「SaaS」か「インストール型」かが決まっています。
それでも違いを知っておくと、なぜその形で提供されているのか、そして自分の使い方と噛み合っているかを理解しやすくなります。
| SaaS | インストール型ソフト | |
| 作業環境 | 場所を選ばず、複数端末で同じ環境を使える | 1台のPC上で完結し、オフラインでも使用可 |
| 導入コスト | 初期費用を抑えて導入しやすい | まとめて購入し、長期利用が前提 |
| アップデート | 自動で常に最新の状態が保たれる | 更新は自分で管理する |
| 作業スタイル | 共有や引き継ぎを前提とした設計 | 個人作業を前提とした設計 |
| データ管理 | クラウド上で一元管理される | PC内に保存・管理する |
なぜ最近のサービスはSaaSが増えているのか

ここまで見てきたように、
SaaSとインストール型ソフトの違いは「どちらが優れているか」ではなく、
どんな使われ方を想定して作られているかの違いです。
最近のサービスにSaaSが増えている理由は、
単に流行しているからではありません。
仕事や作業のスタイルそのものが、SaaSと相性の良い方向へ変化してきたことが大きな要因です。
作業の前提が変わった
- 複数の端末で同じ作業を続ける
- データをクラウド上で管理し、共有や引き継ぎを前提とする
- 常に最新の状態を意識せずに使える
こうした使い方は、
従来の「特定のPCにソフトをインストールして使う」形よりも、
最初から環境として提供されるSaaSの方が自然に対応できます。
また、提供する側にとってもSaaSは合理的です。
機能追加や不具合修正を一括で反映でき、
利用者ごとにバージョンが分かれる問題を避けられます。
結果として、サービスの改善スピードを保ちやすくなります。
一方で、
すべてがSaaSに置き換わるわけではありません。
オフラインで完結させたい作業や、
個人のPC内で長く使い続けることを前提としたソフトでは、
今でもインストール型の方が適している場面があります。
実際には、
用途に応じてSaaSとインストール型ソフトを使い分けている人も多く、
両者は競合というより、役割の違う選択肢として共存しています。
まとめ

最近のサービスが「買い切り」ではなくSaaSとして提供されることが増えているのは、
料金体系の違いというより、使われ方の前提が変わってきた結果です。
SaaSは、場所や端末を選ばず、共有や更新を前提とした作業に向いた形です。
一方で、特定の環境で完結させたい作業や個人用途では、
今もインストール型ソフトが有効な選択肢であり続けています。
大切なのは、SaaSかどうかではなく、
そのサービスが自分の使い方と噛み合っているかという視点です。
この違いを知っておくだけでも、
新しいサービスを見たときに「なぜこの形なのか」を理解しやすくなります。
次は、実際のサービスを例に、
この違いがどう表れているのかをもう少し具体的に見ていく予定です。
